SMAPという時代
先日、今上天皇陛下のお気持ち放送が流れました。
現状では天皇は終身制であり、即位して死ぬまで天皇として生き続けることになっています。
明治時代に終身制に変更になったのは、上皇のように権力権威の天皇への一極集中を妨げる存在を無くし政権運営を安定させるためだったと思われますが、もうそれから100年以上経過しています。
象徴天皇制となり日本人の寿命も伸びた現在、終身制は天皇自身の負担になってしまうでしょうから、退位の意向を示されたことは特に驚きませんでした。
これは「平成」という時代の終わりが近いということです。
時代の終わりが近づいているということです。
ジャニーズには「Coming Century」とか「20th Century」とか「Hey!Say!JUMP」とかその時代をそのまま名前にしたグループが沢山います。
ジャニーさん時代の変わり目大好きだなおい。
TLはこれらのグループの名前でもちきりでした。
少年隊やKinki Kidsも槍玉に上がっていてカオス。
でも、私が一番最初に思い出したのはやっぱりSMAPでした。
SMAPは昭和の終わりの1988年に結成され、元号が変わり平成の世になった1991年にデビューしました。
バブル崩壊後の時代で、会社勤めや恋愛で四苦八苦する若者の悲喜劇をシニカルに歌い、大きな被害を出した阪神淡路大震災の時には「がんばりましょう」とエールを送りました。
そして、イラク戦争の頃に「反戦歌」として大きく広まったのが、「世界に一つだけの花」。
この曲は、21世紀でもっとも売れたシングル曲。
21世紀にダブルミリオンを達成した唯一の曲です。
教科書にも掲載され、老若男女に知られる曲になりました。
もともとはアルバム収録の一曲だった歌が、ここまで大きな存在になったことが本当に不思議です。
その後もSMAPは新潟中越地震、東日本大震災にも歌でエールを送り、被災地を訪れ被災者の方々を励まし、毎週レギュラー番組で募金のお願いをしてきました。
こうしていくうちに、SMAPはいつのまにか既存の「アイドル」の枠を越えて行きました。
今ではメンバーがアラフォーとなり、会社でもそれなりの役職につく年齢になったためか、近年は「大人のダンディズム」「高級感」を全面に出した曲も増えていました。
「アイドルの概念を変えた」「アイドルの新しい時代を築いた」。
SMAPを評する時、こういった言葉がよく使われます。
そして、2016年1月18日、「平成の終わりの頃」に、SMAPはテレビの生放送で謝罪しました。
「新しいアイドルの時代を築いた」SMAPが得体のしれないものに押さえつけられ、我々に向かって謝罪の言葉を述べた時、今まで希望を与えてくれた存在に絶望を与えられた時。
今回の今上天皇の報道を聞いて、真っ先に思い出したのはその瞬間でした。
「ああ、一つの時代が終わったんだ」
参院選で改憲勢力が勝利したことも合わさって、そんな言葉が頭をよぎりました。
そして今日、SMAPが解散するというニュースが日本列島を駆け巡っています。
「昭和の終わりに結成され、平成の始まりにデビューし、平成の終わりに解散するグループ」
もう、ほんとこれ出来過ぎじゃないですか。
「自分たちは時代に助けられてきた。運が良かった」とメンバーが語っていたことが有りますが、こんな偶然ありえるんですか。
おそらく、このまま行けば日本の歴史の教科書では「平成時代」を「一度も戦争がなかった時代」と教えることになるんだと思います。
その時代に流行った歌として「世界に一つだけの花」の名前があがる、それってすごい象徴的なことだなぁって。
多分私の中では、「世界に一つだけの花」が平成という時代を象徴する歌になると思います。
「時代の寵児」という言い方がありますが、まさにSMAPは時代に愛された存在なのではないかと思います。
「SMAPは平成を代表するスーパースターだった」と懐メロ番組で取り上げられる日もそう遠くないのかもしれません。
ところで、現状でSMAPの最新シングルといえば昨年9月9日、SMAPのデビュー日に発売された「Otherside/愛が止まるまでは」の両A面シングル。
1月の騒動当時、「Otherside」=「あちら側、向こう側」というタイトルが独立・移籍をイメージさせてちょっと心をざわつかせました。
「世界に一つだけの花」にしろ「Otherside」にしろ、こうなることを予測してつけたわけではないのに*1、そういった状況に近い出来事が起きる。
SMAPどれだけ時代と一緒に生きてんだよ、寄り添い過ぎだろ。
もういまの気持ちはぐちゃぐちゃすぎてうまく言葉にできません。
12月31日まで4ヶ月半。
デビュー記念日の9月9日まで1ヶ月切って、8月18日の中居正広の誕生日まであと4日。
先日ファンクラブ更新手続きをすませて、更新完了メールが届いたばかりなのに。
どうしてこんなことになってしまったのか。
「戦争のない時代」だった平成が終わりが見え始めている。
「解散がない時代」だった「SMAPという時代」が終わりを迎えようとしている。
生きづらい時代にならなければいいな、と。
そう願うしかありません。
大好きだよSMAP。
今もこれからもずっと大好きだよ。
メンバーが生放送で「自分の気持ち」を伝えてくれるのを待っています。